リハ病棟をお探しの患者さまやご家族の皆さまへ


回復期リハビリテーション病棟とは
 大きな病気や怪我をすると多くは「急性期病院」と呼ばれる病院で治療を受けることになります。しかし、この急性期病院というところは、「命を助ける」ことが大きな目的となっているので生命の危機を脱すると、退院を勧められます。急性期病院は、命の危機に瀕した患者さんを次々と受け入れ、命を救うことを使命としているためです。
 しかし、多くの患者さんはこの時期はまだ心身へのダメージが大きく残り、元の生活にすぐ戻ることは困難ですし、退院を勧められたご家族のほうでも困ってしまう場合が多くみられました。このため、平成12(2000)年に「回復期リハビリテーション病棟」が誕生しました。この新しい病棟は、命の危機を脱してもまだ医学的・心理的サポートが必要な時期の患者さんを対象に受け入れ、自然回復を促す環境をつくり、多くの医療専門職がチームを組んで集中的なリハビリテーションを実施し、心身ともに回復した状態で自宅や社会へ戻っていただくことを目的とした病棟です。

お近くの回復期リハビリテーション病棟を探す
●左記のメニューリストから<会員病棟一覧>を選択すると、当協会に加入している病棟リストがご覧いただけます。

より良い回復期リハ病棟を選ぶポイント
●入院できる病名と、発症してから入院するまでの期間の規定
 全国平均では、入院する方の5割が脳卒中、4割が骨折などの整形外科疾患で、1割が廃用症候群です。脳卒中の場合は「発症後2ヶ月以内の入院」が原則です。
●発症してから回復期リハ病棟に移るまでの期間
 発症してから回復期リハ病棟に移るまでの期間は徐々に短くなっていて、2009年の統計では、脳卒中は平均で36日、整形疾患は27日です。また、入院する方の平均年齢は徐々に高くなっていて、脳卒中は71歳、整形疾患は77歳です。平均入院期間は脳卒中で90日、整形疾患は60日弱です。退院時の在宅復帰率は75%で、目標であった60%を大幅に上回りました。
●より良い回復期リハ病棟を選ぶポイント
 まず、リハビリテーション専門医がいることです。2点目は、看護・介護スタッフの人数が豊富であること。基準は「看護師・介護士を合わせて2ベッドに1人以上」と定められていますが、人数がより多いほど、食事や排泄の際に手厚い支援を受けることができます。3点目は、療法士によるリハビリ時間が長いことで、最低でも1日2時間(=6単位)以上、できれば3時間のリハビリを実施している施設が理想です。また、チーム力を感じる雰囲気やスタッフの雰囲気が明るいということも、選択項目のひとつです。
●回復期リハ病棟の条件
 2010年の診療報酬改定では、1日2単位以上のリハビリを行う病棟のみが、回復期リハ病棟を名乗れることになりました。さらに、以前からあった重症患者回復加算に加えて、「休日リハビリ提供加算」と「リハビリ充実加算」が新設されました。「休日リハビリ提供加算」は、土日祝日にも平日と同様のリハビリを提供する病棟に加算される点数で、「充実加算」は、365日間平均して1日6単位以上のリハビリを行っている病棟が対象になります。
●入院中の病院の主治医やソーシャルワーカーへ相談
 回復期リハビリテーション病棟に入院を希望される場合は、まずは現在入院中の病院の主治医やソーシャルワーカーへ相談されることをお勧めします。
お問合せの多いご質問にお答えします

 第1章 入院に先立ってのこと

●誰でも回復期リハビリテーション病棟に入院できるの?
 この病棟では、病名と、病気・怪我を発症してから入院するまでの期間が決められています。たとえば、脳梗塞や脳出血などの脳卒中、大腿骨頚部(太ももの付け根部分の)骨折、脊髄損傷、頭部外傷、肺炎や外科手術の治療時の安静による廃用症候群などでは発症または手術後「2か月以内」、股関節・膝関節の神経や筋、靭帯損傷後は「1か月以内」などです。
 これらの患者さんに対し、チームの各担当スタッフが入院後すぐ、寝たきりにならないよう、起きる、食べる、歩く、トイレへ行く、お風呂に入るなど(これらを「日常生活動作」(ADL)といいます)への積極的な働きかけで改善を図り、家庭復帰を支援していくのです。まずは病院の医師やソーシャルワーカーに相談するか、お近くの回復期リハビリテーション病棟のある病院へお問い合わせ下さい。
●回復期リハ病棟ってどこの病院にあるの?
 回復期リハビリテーション病棟は病院の中に1つの病棟として開設されている場合もあれば、病院全体が回復期リハ病棟になっている病院もあります。当協会ホームページの左側にあるメニューから「会員病棟一覧」を選択いただけるとご覧いただけます。全国の整備状況は2011年3月現在、全国に1088病院、1355病棟、60144床が確認でき当初の整備目標であった「人口10万人あたり50床」に近い47床となりました。
●回復期リハビリテーション病棟の「回復期」って?
 病気や怪我の種類は違っていても、自然回復や集中的なリハビリテーションにより身体の機能や日常生活動作(ADL)の改善が見込まれる時期を「回復期」という言葉で表しています。脳卒中や大腿骨頚部骨折など大きな病気や怪我を発症すると、急性期病院で治療を受けて命の危機を脱し、全身状態はひとまず安定します。しかし、まだまだ麻痺などの障害が残っている場合が少なくありません。
 ただし、こうした症状はすぐには固定せず、その後も引き続き機能の回復が期待できる期間が続きます。この期間は病気の種類や発症した場所、発症してからの期間などに左右されるため、回復期リハビリテーション病棟では入院できる患者さんの病名、発症してからの期間が決められています。

 第2章 入院中のこと

●回復期リハビリテーション病棟での毎日の生活はどんな感じ?
 毎日の生活は、まず患者さんの病気の管理が基本となります。そのうえで、通常、数か月間の入院を経て家庭や社会へ復帰することを目的に、日常的な食事や歩行、排泄、入浴などの動作を改善するためのリハビリ・プログラム(総合実施計画)が組まれます。
「回復期リハ病棟のケア:10項目宣言」
 「食事は食堂やデイルームに誘導し、口から食べていただく取り組みを推進しよう、排泄はトイレへ誘導し、オムツは極力使用しないようにしよう、日中は普段着で過ごし、更衣は朝夕実施しよう」などの宣言は、たとえ障害があったとしても、患者さんご自身が希望する生活が実現できるように支えていきたいという看護・介護スタッフの声から生まれました。毎日の個別集中的なリハビリを支えているのはこうした看護・介護の取り組みなのです。
●回復期リハビリテーション病棟ではなぜチーム医療が行われているの?
 患者さんにとって、「回復期」は集中的なリハビリテーションによって機能回復が最も期待できる時期であると同時に、心理、社会、経済的問題も多々生じやすい時期といえます。生命の危機を乗り越え安心したものの、「手足の麻痺は元に戻るだろうか」といった不安や、「戻らなかったらこれから先どうしたらいいのか」等々です。
 このような複雑な心身状況にある患者さんや家族に対し良質な入院医療サービスを提供するためには担当医師だけの力では不十分です。大勢の看護・介護スタッフ、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)、ソーシャルワーカー(社会福祉士)、(管理)栄養士、歯科医師・衛生士、義肢装具士、薬剤師など…さまざまな専門技術・知識を持った医療スタッフがチームを組んで、患者さん、家族と一緒にADL向上、家庭復帰に取り組むことが欠かせません。このためにチーム医療が提供しやすい環境になっているのです。
●回復期リハビリテーション病棟にはどれぐらいの期間、入院できますか?
 入院できる期間は、疾患や傷病名によって日数が決められています。たとえば、脳梗塞や脳出血などは150日以内、高次脳機能障害(脳がダメージを受け、記憶・思考・言語などの機能が低下した状態)や脳卒中の重症例は180日以内、大腿骨頚部骨折、廃用症候群は90日以内、股関節・膝関節などの神経、筋や靭帯の損傷は60日以内となっています。実際には患者さんの状態やご希望、また退院先の状況によりそれぞれ異なりますから入院された病院のスタッフと相談しながら決めていくのが一般的です。
 退院についてはソーシャルワーカーをはじめいろいろな職種のスタッフが患者さんに寄り添い、ご本人の希望を聞き、自宅に帰ってからの患者さんの生活を第一に考えながら最良の退院方法を考えていきます。
疾    患 発症から入院
までの期間
病棟に入院
できる期間
1) 脳血管疾患、脊髄損傷、頭部外傷、くも膜下出血のシャント手術後、脳腫瘍、脳炎、急性脳炎、脊髄炎、多発性神経炎、多発性硬化症、腕神経叢損傷等の発症又は手術後、義肢装着訓練を要する状態  2ヶ月以内 150日
 高次脳機能障害を伴った重症脳血管障害、重度の頚髄損傷及び頭部外傷を含む多部位外傷 180日
2) 大腿骨、骨盤、脊椎、股関節もしくは膝関節の骨折又は二肢以上の多発骨折の発症後又は手術後の状態  2ヶ月以内 90日
3) 外科手術又は肺炎等の治療時の安静により廃用症候群を有しており、手術後または発症後の状態 2ヶ月以内 90日
4) 大腿骨、骨盤、脊椎、股関節又は膝関節の神経、筋又は靱帯損傷後の状態  1ヶ月以内 60日
5) 股関節又は膝関節の置換術後の状態 1ヶ月以内 90日
※資料出展:厚生労働省/回復期リハ病棟入院料を算定可能な疾患(2010年4月改定)

 第3章 退院のこと

●退院先や退院の時期を誰がいつ決めるの?
 必要とされる入院期間や退院のための環境調整については、主治医を中心としたスタッフと相談しながら決めていくのが一般的です。多くの回復期リハビリテーション病棟では関係専門職が「カンファレンス」と呼ばれる会議を定期的に開催し、多数の専門職の意見をもとに患者さんの回復状況を確認し、退院を見通した訓練実施プログラムを作成しています。
 とはいえ、最終的に退院先を決めるのは患者さんとご家族です。患者さんの状態やご家族の状況によって「家庭復帰」の決断を躊躇されるような場合は、なるべく早い段階から担当の医師、看護・介護スタッフ、リハビリスタッフ、ソーシャルワーカーに相談してください。不安を抱え込まず、相談しながらあせらずに一つずつ解決していくのが得策です。